電気工事士2種は何ができる?

生活する中で欠かせない電気。ビルや工場などの大きな建物の電気工事だけでなく、エアコンの電源取付、コンセントの修理といった私たちに身近な家庭内の電気工事でも、感電や火災の発生といった危険がある為、工事を行うには電気工事士の資格が必要となります。

コロナの影響でライフスタイルが変わり、家で過ごす事が増えた人も多く、エアコン取付工事やマンション建設が増加しています。それに伴って第二種電気工事士の需要も高まっています。電気工事士の資格を取得することで対応できる作業範囲ついて解説します。


■電気工事士とは

電気工事士は、経済産業省によって定められた国家資格です。


電気工事士資格の概要と目的は、下記の通りです。

「住宅、工場、ビル等の電気設備について、工事段階で不完全な施工をすると感電、火災等の思わぬ事故の発生する危険性があります。経済産業省では、こうした電気工事の欠陥による災害の発生を防止することを目的として、電気工事士の資格を定め、電気工事士試験を実施しています。」

引用:経済産業省 電気工事士 概要・目的


電気工事士は「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」の2種類に分かれており、それぞれ対応できる作業内容が異なります。

第二種電気工事士は、住宅や小規模店舗の600V以下で受電する設備の電気工事が可能であり、第一種電気工事士はそれに加えて小規模工場やビル等(最大電力500kW未満の需要設備(※))の電気工事が可能です。

(※)需要設備とは、ビルや工場などに設置される受電設備、変電所 以外の変電設備、構内電線路、負荷設備、非常用予備発電装置など電気関連設備を意味します。


■第二種電気工事士ができる業務範囲と役割


電気工事士の主な業務内容は下記の2つです。


① 建築電気工事

外線配線工事・・・電柱と電線関連の作業

屋内配線工事・・・施設内での配線工事と設計やメンテナンス

冷暖房設備工事・・・エアコンの脱着やクリーニング


②  鉄道電気工事

変電設備工事・・・変電所のメンテナンスや建築

線路工事・・・線路上の電気設備に関連した工事


・第二種電気工事士ができること

電気工事士が実際に携わることが多いのは下記のような業務です。


一般住宅や店舗など小規模施設の電気工事

例えば、屋内の配線や照明の工事、コンセントの設置や交換、エアコン設置工事などがあります。600V以下で受電する設備に関する作業は対応可能です。

また規定内であれば、自宅のリフォームやDIYで電気設備の設置や工事が可能です。


現場代理人をすることができる

現場代理人は、電気工事における現場監督のような立場で、現場全体の管理業務を行います。

図面通りに適切な工事が行われているか、手順や方法に間違いがないか、現場の安全管理を怠っていないかなどを入念にチェックします。不適切な点を発見した場合は、是正指示を出します。同じ現場で作業している他業種の職人との作業工程やスケジュールのすり合わせや施主に対して電気工事に関する説明をする場合もあります。

現場の事や電気工事について理解していないと、的確な指示が出せないため、知識や実務経験が必要ですが、資格に加え現場で経験を積むことで現場代理人として活躍できます。


・担当する電気工事の種類

第二種電気工事士が実際に携わることの多い作業内容について紹介します。


・建築現場での電気工事

家屋での配線工事は物件数が多いため、最も代表的な仕事と言えます。

一般住宅や小規模な店舗、オフィスの工事が多く、主にコンセント、照明、エアコンの設置工事を担当します。

経験を積んでいくことで、現場代理人として現場を取り仕切る職務に就くことも可能です。


・電気設備のメンテナンス

ビルメンテナンスの仕事も需要が高いです。ビルの電気に関する保守点検を請け負い、不具合の有無をチェックし、問題があれば修理など適宜対応します。いつでも安心して使うために点検は欠かせません。

その他、信号機や街灯のメンテナンスなど屋外での作業もあります。


・リフォーム工事での電気工事

間仕切り変更やエアコン増設、太陽光パネル設置などを行うと、配線の移動や引き直しが必要となります、コンセント増設や照明移動などの工事も発生することが多くあります。


■第二種電気工事士と第一種電気工事士の違いとは?


第一種電気工事士は、第二種電気工事士の上位資格です。2つの資格の違いは大きく3つあります。


① 対応できる作業内容

② 資格試験の有効期限・難易度

③ 将来性


それぞれの項目について補足説明します。


① 対応できる作業内容

第二種電気工事士が対応できるのは、一般住宅や小規模施設での工事のみです。第一種電気工事士は、第二種電気工事士のできる範囲に加えて、最大電力500キロワット未満までの工事に携わることが可能です。例えば、病院やショッピングモールといった大型施設の作業も可能となります。


② 資格試験の有効期限・難易度

第二種電気工事士には有効期限がありませんが、第一種電気工事士は5年おきに講習受講と更新手続きが必要です。

試験の難易度については、合格率だけ見ると60%~70%とほぼ変わりませんが、習得が必要な内容は格段に難しくなっています。


③ 将来性

AIにはできない仕事であり、電気工事自体の需要が増加しており、全ての建築物において電気工事が必要であることから考えても電気工事士は将来性が高い資格と言えます。

特に、第一種電気工事士は、ベテラン工事士の退職により2025年までに日本全国で2万人不足するといわれており市場で有資格者は市場からも求められています。



・電気工事士の受験資格について

第二種電気工事士は、年齢、学歴、職歴、実務経験といった受験資格の定めがないため、誰でも受験できます。


■まとめ


電気工事士は


・有資格者にしかできない作業が幅広いこと

・電気は生活の上で必要不可欠なので、常に需要が高い仕事であること

・活躍できる現場が多く、決してなくならない仕事であること


など、将来性が高く、資格を取得して専門技術を身に着ければ、その技術を一生涯使うことができます。国家資格の中では、難易度も低めで取得しやすい資格といえますので、今後のキャリアプランを考える上で非常に魅力的な業界になりそうです。